日蓮聖人は、お釈迦様の願いを「”今”をイキイキと生きる智慧」である法華経に見いだしました。
お釈迦さまの教え(言葉)をまとめた「お経」の数は、「8万4千」といわれています。
その中でも、日蓮宗が一番大切にしている教えが「法華経」(正しくは『妙法蓮華経』)です。
この法華経には、お釈迦さまの本当の心があらわされており、すべてのお経が含まれています。まさに、この世をイキイキと生きるための仏教のエッセンスがつまった”教えの集大成”とも呼べるものです。
日蓮宗の宗祖、日蓮聖人は、相次ぐ自然災害や争乱などで混乱を極めた鎌倉時代に生き、幾多の困難に見舞われながらも、強い信念のもと、お釈迦さまの教えを日本の地でひろめた人物です。
人々の苦しみを取り除き、社会全体が幸せになるように願った日蓮聖人は、来世ではなく”今を生きる”ことの大切さを説き、法華経への信仰にその生涯を捧げました。
日蓮聖人が説く、お釈迦さまの功徳が集約された「お題目」の世界は、今もなお多くの人々の心の拠り所となっています。
宗教・信仰は、皆さんとともにあり、疲れ、悩んでいる時には励まし、喜び、うれしい時には共に笑える存在であるべきだと思います。
私は、宗教・信仰をもっと身近な存在として感じていただきたく思います。気軽にお寺に立ち寄り、もっとお寺を身近な存在に感じていただけると幸いです。
【お題目(南無妙法蓮華経)とは】
日蓮聖人が大切にした「法華経」には、どのような人でも全て平等に「仏の心」(仏性)が備わっていると説いてあります。それは、人だけではありません。動物も植物も大地も、全ての生きとし生けるものに「仏の心」はあるのです。その全ての仏さまに感謝し、手を合わせるのが、お題目=「南無妙法蓮華経」の世界です。
「南無」とは、一心に仏を信じること。
「妙法蓮華経」の五字には、お釈迦さまが多くの人を教え導いた智慧と慈悲の功徳が、全て備わっているといわれています。
全て備わる「仏の心」を信じ、この「南無妙法蓮華経」のお題目を口に出して唱えることで、自分のなかにある「仏の心」をも呼び現していこうとしているのです。